■ワインの力(06/03/10)
かれこれ15〜6年前に素晴らしいソムリエに出会った事があります。
博識をひけらかさず的確にワインを選んでくれて子連れの私たち家族を優しく温かいサーヴィスでもてなしてくださいました。地中海料理とうたったレストランでしたのでテーブルまで本日の魚を見せに来てくれた時、当時3歳になるかならないかの次男坊が魚を指差して、こぶだい、コチ、めばる・・・なんて言うものだからあなたは目を丸くしていましたね。
サンセールをいただいたと思います。となると前菜は白身魚のカルパッチョか、真夏で食欲がなくてサラダを注文したのかも知れません。その時交わした会話もお顔もじきにおぼろげとなってしまいましたが、レストランにおいてソムリエの存在がこんなにも重要な物だと初めて思い知らされました。
あれからこっち国内外を問わず食べ歩き三昧しましたが、あなたほどおおらかなソムリエに出会ったことはありませんでした。
琵琶湖に面した格調高い優雅なホテル。高層じゃないのも余裕ですね。当然お値段が私好みではないので15年、後無沙汰でしたが、一年前に宿泊する機会を得ました。半分期待を込めてレストランに行ったんです。
残念ながらあなたはいらっしゃいませんでした。
ホテルのバーに行き、ステアの上手なバーテンダーにその昔話をしました。即答でしたよ。あなたのことを。
随分慕っているようにも見受けられました。酒に酔った私は、教えてくれたあなたの居場所を忘れてしまったようです。残念!
時は変わって先日、久しぶりに京都へ行って来ました。三ツ星シェフのレジス・マルコンさんが京都調理師専門学校でデモンストレーションをしたのです。
森の魔術師と呼ばれるだけありジロル、セップの料理が見事でした。ヒントを得てウチに戻り、乾燥しいたけの戻し汁を入れたフォワグラのフランをきのこ風味のジュレと共に食べる冷たい前菜を試作しました。
評判は上々のようで近じかメニューに載せる予定です。
話は戻って、デモンストレーションが終わり、連れと取り合えずオーバカナルで生ビールをごくり。さあワインを飲もうと祇園の方角へと足を進めました。
私が連れに出したリクエストは、鴨川が見えてワインにこだわったお店。
彼は、ウチで4〜5年働いたキュイジニエ。昨年は日本最年少シニアソムリエにもなりました。その彼が選択したお店は素晴らしくそしてお洒落でした。私たちはグラスワインを何種類かいただいたのですが、ボトルリストと共に見事な品揃えでお料理も美味しく堪能しました。こんな素敵な店を知っていただけで訪れたことのなかった最年少シニアソムリエは大感激で、極楽極楽とグラスを傾けておりました。
そして特筆すべきはオーナーソムリエのお人柄。ユーモアがあり私たちの品のない話にも付き合ってくれました。
こんな素敵な人は、15年来会った事はない。まるで15年前を思い出させるようなサーヴィス。まてよ・・・
「お名刺をいただけますか?」
頂戴した名刺には、まさに山口訓生と書かれているではありませんか。あなたはやはり・・・ロイヤルオークホテルの名ソムリエだった山口さん。
再びお会い出来て嬉しかったです。そして私のことを覚えていてくれてありがとうございます。
こんな偶然ってあるものなんですね。一杯おごってくれたデュジャックのモレサンドニの味は忘れません。
益々の鶉亭でのご活躍を心よりお祈りします。そして又必ず伺います。
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